研究テーマ1:土壌有機物の貯留メカニズムと地球温暖化

Research Topic 1: Mechanisms behind Soil Organic Matter (SOM) Persistence

土壌は陸域最大の炭素貯蔵庫です。つまり、地球全体に存在する土壌中の炭素量は、大気中 CO₂ に含まれる炭素量のおよそ 2 倍、植物バイオマス中の炭素量のおよそ 3 倍に相当し、1,700 ギガトン以上に達します。

将来の気候変動によって、土壌有機物の分解に伴う CO₂ 放出量が植物の光合成による CO₂ 吸収量を上回った場合、現在は炭素吸収源として機能している陸域生態系が炭素放出源へと転じ、地球温暖化がさらに加速する可能性が懸念されています。しかし、土壌炭素の増減の予測は困難で、地球炭素循環モデルによる将来の温暖化予測に重大な不確実性をもたらしています。

土壌炭素の多くは、土壌有機物として存在しています。近年まで、土壌有機物は腐植物質とほぼ同義と見なされ、その有機化合物が巨大(高分子)で複雑な【分子構造】を持つために、微生物分解が進まず、それのため土壌炭素が蓄積すると考えられてきました。

しかし、新たな分析手法の進展から、比較的単純な分子構造の有機物が土壌鉱物や金属イオンとの【化学的な結合】(吸着、共沈殿、団粒化)あるいは団粒化による【物理的隔離】によって土壌有機物が安定化することが、分かってきました。

つまり、(温度・水分などの外的環境要因を除く)土壌有機物の安定化メカニズムは、①有機物の分子構造の頑強性、②土壌無機成分との化学的な結合、③物理的な隔離、の3つに大別できます。

上記を踏まえ、私たちの研究室で次に重要な課題と考えているのが、どの様な土壌タイプや環境条件でどの特定の安定化メカニズムが働くか、炭素の安定化に伴い窒素、リンなどの養分元素の反応性はどう変化するか、またこれらの知見をどの様に予測モデルの改良に繋げられるかといった問題です。

また、土壌有機物に含まれる元素は作物の重要な養分であるため、堆肥連用や不耕起・省耕起などの農法により、炭素を土壌に隔離することで温暖化を抑えると同時に、化学肥料への依存を低減し、農業持続性を高めることができます。そのような農地管理が土壌有機物の及ぼす影響評価も行っています。

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