「土とは何か?」というのは深淵な問いですが、まずシンプルに捉えるには、「土壌 ≒ 鉱物+有機物+微生物」となるでしょう。土を構成する物質・物体は、多いものから順に、 鉱物 >> 有機物 >> 微生物 >> 土壌動物 となります。
・鉱物には、マグマが冷えてできる一次鉱物、それらが雨風や熱により再編成されてできる二次鉱物(例.粘土や鉄酸化物)があります。
・有機物には、生きているもの(植物根や微生物)と死んでいるもの(植物遺体、微生物遺骸)が含まれます。大部分は死んだ有機物ですが、落葉や枯死根などの植物遺体をエネルギー源として微生物(古細菌、細菌、真菌)や小さい土壌動物(線虫など)が生息し、それらの捕食者(トビムシなど)や大型土壌動物(ミミズ、モグラ等)もいます。堆肥は、落葉や家畜の糞尿とそれらを餌に増殖した微生物の遺骸からなる有機物です。

では、鉱物・有機物・微生物を混ぜれば土ができるかと言えば、そう単純にはいきません。カギになるのは、材料の種類や量だけでなく、鉱物・有機物・微生物が、長い時間をかけてお互いに影響を及ぼし合うことです。こうした関係を「相互作用」といい、その積み重ねによって土を土たらしめる特性が生まれます。それがカギを考え、有機物x鉱物の相互作用に関する様々な研究を行っています。
その代表例として、大小の孔隙が連結した多孔質の土壌物理構造(団粒構造)が挙げられます。この物理的構造により、水や空気の移動が可能となります。また、相互作用の結果、プラスやマイナスの栄養塩を保持するとともに、土壌pHを過度に変動させない化学的緩衝能が高まります。さらに、土壌は多様な代謝様式をもつ微生物群集を保持しており、電子供与体と電子受容体のカップリングに基づく微生物の物質変換によって、炭素や養分の土壌中循環が駆動されています。
これらの特性があるからこそ、土壌は農作物や草原や森、つまり陸上生態系にとって不可欠な機能を果たしています。これを、より大きな視点で見てみると、「土壌圏」という概念に繋がります。つまり、岩石圏と生物圏の境界に成立するのが土壌圏(Pedosphere)であり、陸上では生物圏+土壌圏が生態系となります。陸上生態系の生物は、機能から分類すると、生産者、消費者、分解者に分けられ、後者の2つ(特に分解者)は土壌が主な生息場(ハビタット)です。
以上をまとめると、地球そして生態系の中に存在する土壌は、以下のような特徴を持つと言えるでしょう。
- 土壌は、地球という主に岩石や金属などの無機物からなる天体の最表層において、鉱物・有機物・生物(植物+微生物)が相互作用することで、陸上生態系の一部として形成されている(生物圏と岩石圏の境界に存在する固有の物質集合体)。
- 陸上生態系は、植物による有機物の「生産(有機化)」と土壌中の従属栄養型微生物による有機物の「分解(無機化)」の協調により成立しており、土壌の働きにより生態系の物質循環そして陸上生物群集の恒常性が維持されている。
